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静岡市立高等学校

「The way to solve international issues by MFC
―微生物燃料電池でSDGsをソリューションする。―
指導教諭:海野貴央
研究メンバー:伊藤風太、井柳利功、浦山綾斗、片岡慶汰、丸橋奏

 今後、世界では人口増によりエネルギーの使用量は増加すると考えられており、こうした社会においては、従来型の化石燃料中心の発電からCO2を発生しない、よりクリーンな発電方法が求められる。そこで私たちは微生物燃料電池(MFC)に着目した。田んぼや湖沼などの一般的な泥の中にも発電を行う細菌が含まれることがわかっており、これを使って水中で発電を行う。発電菌が有機物を分解する際に電子を出し、それが電極の近くで酸素などと反応して発電する仕組みだ。
 このチームでは元々、年間を通じた学校の研究テーマとしてMFCを研究しており、実際にMFCを製作し、電極をアルミニウムとグラファイトシートで比較したり、発電菌からパン酵母に変えたりしながら、さまざまなデータを取って研究を進めていた。安価な素材で手軽に作れるのもMFC利点の一つだが、どうしても発電量が少なく、安定性が乏しいのが課題となる。実社会において、このような発電技術を適用できる分野はあるのだろうかと考察を進めた。
 MFCの利点は発電に加え、水質浄化とリンの回収を同時に行えること。泥と微生物があれば発電できるため、メンテナンスが不要というのも強み。発電量が少ないものの、蓄電池などに貯めておけば災害時に活用できるであろうし、家庭用の下水処理や農業用水と組み合わせてリンの回収と発電の両用で考えることもできるかもしれない。
 私たちが考えたモデルとしては、養殖用の池などでの活用を検討した。魚が食べ残したエサは水を汚すものの、MFCがあればそれを分解して浄化でき、また発電した電力も回収できる。グローバルで見れば、アフリカなどの無電化地域では役立つのではないか。今後、アフリカは人口が爆発的に増加する見通しで、そうなればエネルギー需要も増す。無電化地域は安全な飲み水もない地域が多い。MFCならば電気の供給と水の浄化を同時に達成でき、エネルギーの確保だけではなく、SDGs目標の多くの課題解決に貢献できると考えている。MFCのような技術こそ、海外に対して日本がどんどんと発信すべきではないか。