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静岡県立駿河総合高等学校

発表タイトル「雑藻類を用いた地産地消オイルプラント」
指導教諭:氏原潔
研究メンバー:安藤凜太郎、大石真一郎、塚田凪砂、鳥澤勇輝、北條珠誠、村松豊

 今後のエネルギー需要増加と自給率の向上、また地球温暖化対策を同時に解決するためには、CO2を排出しない国産エネルギーが必要となる。そこで私たちは、河川や沼に生息する雑藻類とアオコからバイオ原油を安定生産するプラントの実用化を提案する。
 現在の微細藻類由来のバイオ原油生産はユーグレナなどオイル含有量が高い、いわゆる「エリート藻類」を安定・大量に培養するというものだが、私たちがフィールドワークでお話を聞いた渡邉信・筑波大学特命教授・藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター長によると、こうした単一種の場合、培養の環境の影響を受けやすく、全滅などのリスクがある。一方で、その土地に何億年もかけて住み着いた雑藻類は、それぞれのオイル含有量こそ少ないが、気温・環境等の変化に強い。このため、国内のあらゆる場所に繁殖している雑藻類と河川や湖沼などの環境を汚染するアオコも混ぜて活用すれば、バイオ原油生産と環境汚染防止の両面の対策につなげられると考えた。また、培養には窒素やリンといった肥料が必要だが、下水処理場やダム底にたまった汚泥から窒素とリンを回収して使えば、処理コストの低下も見込める。
 具体的な生産は、渡邉先生の研究所で開発した手法を用いる。培養した雑藻類とアオコを回収後、ドラム式装置で脱水する。それを連続水熱液化装置にかけ、350度・200気圧を加えれば10~30分で乾燥重量当たり5割分のバイオ原油を生産できるという。生産に必要な電力は焼却炉の熱を応用し、足りない分は太陽光発電などで賄うことも考えた。FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の補助金を活用することと、下水を利用し培養を加速するという条件で考えれば、化石燃料由来の原油と競争できるレベルであると聞いている。
 アオコなどを培養する場所は下水処理場近くの空き地が最適ではないか。見つからない場合は耕作断念地が良いかと考えた。田畑であれば日照時間も比較的長いからだ。この技術を発展させるためには国の理解が必要。企業がバイオ原油製造事業に進出しやすくなるような施策も欠かせない。