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発表プランのイメージ / 2021年度大会の研究発表

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2021年度 第3回大会参加高等学校の研究発表

三島北高等学校

発表テーマ:
「Fantastic Future ~魔法のエネルギーたち~」

地球温暖化問題を解決するため、次世代のエネルギーで水素を作って活用することを提案したい。鉄鋼業では製造方法に水素還元、輸送部門ではトラック燃料に水素を使う。特に、輸送トラックは電気自動車(EV)化してしまうと積載量が減ってしまう可能性がある。両部門は二酸化炭素(CO2)排出量が多く、水素を活用すればCO2が大幅に削減できる。ただ、現状では水素のコストは高いほか、化石燃料で製造されているという課題がある。このため、水素製造には世界で急速に開発が進むSMR(小型モジュール炉)を使う。それには国民の理解を得ることが必要だが、それでも放射性廃棄物の問題は残る。これらの課題を解決する方法として核融合発電を提案したい。核融合発電は安全性が高く、高レベル放射性廃棄物が出ないなどのメリットがある。ビル・ゲイツ氏なども核融合関連のベンチャー企業に投資しており、ITERプロジェクトも進んでいる。日本にはその技術があり、これを実現すれば世界的にエネルギー先進国として認知されるとともに、日本全体のカーボンニュートラル達成に向けた大きな一歩になる。

駿河総合高等学校

発表テーマ:
「生分解性バイオマスプラスチック生産と分別リサイクルの確立」

既存のプラスチックは石油が原料であることによる生産・焼却時のCO2排出、海洋ごみ問題、マイクロプラスチック問題などの課題がある。このため、CO2排出の課題にはバイオマスプラスチック、海洋ごみ問題やマイクロプラスチック問題には生分解性プラスチックで対応していくことが重要と考えた。生分解性バイオマスプラスチックのうち、カネカ生分解性ポリマーを例に提案したい。普及にはコスト、耐久性・加工のしやすさ、分別回収などが課題となる。コストは本格普及に伴うメリットや生分解性の持つ様々な利点を付加価値とすることでカバーする。耐久性・加工のしやすさの課題は、使用用途に合わせて普及させていくことが大切だと考えた。また、分別回収を促進するために重量測定が可能な回収ボックスを設置し、電子ウォレットにポイント付与・換金する仕組みを取り入れる。さらに、マテリアルリサイクルの観点から生分解性バイオマスプラスチックを固形燃料化し、エネルギー自給率向上にもつなげる。

浜松開誠館高等学校

発表テーマ:
「太陽光窓ガラス」

再生可能エネルギーの中でも太陽光発電は世界中で使える枯渇しないクリーンなエネルギーとして重要だが、設置時の森林伐採の懸念や可視光だけの発電にとどまるといったデメリットがある。そこで、赤外線や紫外線を活用して発電する無色透明発電ガラスを提案する。まず太陽光の65%を占める赤外線で発電すれば、太陽エネルギー資源をより有効に活用できる。設置方法によっては表、裏の両面や斜めの太陽光を利用することも可能となる。また、既存の建物の窓に取り付けていけば、森林伐採によるCO2吸収量の減少が回避できる。室内が暖められる原因となる赤外線をガラスで吸収するので、室内の温度上昇の抑制にもつながる。さらに、将来的に紫外線を活用して発電すれば、窓ガラスで紫外線を吸収できるので、皮膚がんなど健康問題の解決にもつながる。窓ガラス発電を適用していく例としては、バスなど公共交通機関の窓、信号、腕時計などが挙げられる。このような身近なアイデアを考えていけば、窓ガラス発電は2050年カーボンニュートラル達成への糸口になる。

静岡聖光学院高等学校

発表テーマ:
「0円ソーラーに関する新たなビジネスモデルの提案」

0円ソーラーに関する災害の多い静岡から始まる新たなビジネスモデルを提案したい。フィールドワークを経て、僕たちは再生可能エネルギーの発電量増加、エネルギー自給率の向上、南海トラフなどの大規模災害時の電力維持が課題と考えた。そこで太陽光発電パネルと蓄電池を各家庭にとりつけることが必要と考えた。ただ、実際に設置できるのは一部のお金持ちだけになる可能性がある。このため、0円ソーラーという新たなビジネスモデルでは、太陽光を設置する企業が家電量販店や電気自動車(EV)の販売店と提携し、家電の割引やEVとのセット販売などのサービス優遇を行い、毎月レンタル料を支払う一般家庭のメリットを増やす。静岡県は日照量が全国で3位、車の保有台数も10位と事業環境的にも恵まれている。実際のサービスには知名度・信用が課題だが、コンビニ大手は防災拠点の役割を担うことで、企業のイメージアップ向上への投資をしており、実現可能だと考えている。

科学技術高等学校

発表テーマ:
「雷は授ける。(かもしれない・・・!)」

なぜ雷のエネルギーを使えないのかという疑問をかつて抱いたことをきっかけに、未利用エネルギーの可能性などを研究した。まず雷のエネルギーが本当に使えないかを調べた。雷のエネルギーは大きいが、あまりにも高電圧で、一瞬にして電流が流れるので、送電することはできない。コスト的にも難しい。一方、南米北部のマラカイボ湖では年間300日以上、落雷が発生している。仮に、雷のエネルギーが使えるようになれば有望な地域と考えられる。雷をベースロード電源として活用することはやはり難しいが、ミクロな世界では大気中から電気を取り出すといった新しいエネルギーの研究が行われている。例えば、大気中の微粒子が湿度が大きいほど電荷を帯びるという「湿度電気」、湿度の差でミリ・アンペア・レベルの電流を生成する「湿度変動電池」、雷雲の前に弱い電流が流れる「大気電流」といったものがある。2050年に向けて社会の開発への期待を高めるために、これら技術にも興味を持ってもらいたい。